病気を乗り越えるまでの道のり~難病との向き合い方

病気を乗り越えるまでの道のり

心の危機に直面した20代、30代

もうかれこれ10年以上前のことですが、20代の頃うつを経験したことがあります。

会社も辞めて4ヶ月ぐらい家に引きこもっていました。死にたいと思ったこともあるけれど、死ぬ勇気もありませんでした。

正直その頃のことは、よく覚えていません。

どうやって乗り越えたのでしょうか?

時が癒やしとなって、何もしない生活にも飽きてきたので、「ぼちぼちまた働くか…」という気持ちが自然と芽生えてきました。

その後また数年後、メンタル的に不安定な時期もあったけれど、当時付き合っていた彼のおかげで救われました。

その後、ご縁あっていまの彼(夫)と結婚し、子どもを一人授かりました。でも、今思えば産後うつだったのか、子育てをしんどく感じることが多かったです。

そして、35歳のとき(子ども3歳のとき)、国の指定難病の一つ「高安動脈炎(大動脈炎症候群)」と診断されたときには、落ちるところまで落ち、人生のどん底を味わいました。

いま思えば、20代、30代ならではのライフイベント(結婚、出産、病気、育児、介護等)からくる心の危機に直面していたのでしょう。

自分はこうありたい、自分の人生はこうあるべきという思いと現実との狭間でどう折り合いをつけていくか……。価値観の再構築を求められた30代半ば。

その心の整理がある程度ついたとき、育児や病気に関してもなんとなく受け入れることができ、現在は高安病とお付き合いしながらの生活のなかにも日々小さな感動をみつけ、誇りを取り戻していったような気がします。

『オズの魔法使い』から学んだこと

子どもが幼稚園児の頃、親子で『オズの魔法使い』を観劇する機会がありました。

おもな登場人物は、考える力(脳)を欲しがるかかし、ハート(心臓)を欲しがるブリキの木こり、勇気を欲しがる気弱なライオン、そして主人公のドロシー。最後には皆それぞれの希望をかなえた。“信じる”という魔法をもって。

40代になっても、まだまだ自分の心の弱さや不安に押しつぶされそうなときもあります。

けれど、大丈夫!きっとまた乗り越えられるはず!“信じる心”をもってこれからも歩んでいこう。

今日もそう自分のことを励ましながら生きています。

病気の乗り越え方、難病との向き合い方

病気の乗り越え方は人それぞれだと思いますが、そのプロセスのなかで抱いた各々の意志や決意はとてもかたいように思います。そして、生きる希望につながっていくのだろうと思います。

私の場合ですが、2013年11月に指定難病の高安動脈炎と診断されてから、これまでどのようなプロセスを経て病気を受容することができたのか、改めて考えてみたいと思います。

病気を乗り越えるまでの道のり

1.不安を感じない時間をつくる

私の場合、闘病ブログを書くこと(集中すること)が不安を感じないひと時となりました。また、ブログを書籍化(『高安動脈炎と生きる』(Kindle本))することで、一つの達成感を得られました。これは、病気が安定したら、また仕事をしっかりやっていけるという自信につながったと思います。

難病のある人のストレス対処法。不安やうつと上手につきあうために。

2.人に話す

ブログを書くということは、つまり自分の体験を人に話すという作業となりますが、この作業を通して自分の頭の中を整理していくことができました。専門家(臨床心理士)のカウンセリングを受けたこともあります。

【心理療法】躁うつ病予防に心理カウンセリング(無料)を受けてみた。果たして効果は?

3.図書館に通う

息子を幼稚園に送った足で、そのまま私は図書館に通うのを日課としました。新聞や雑誌に目を通すことで、社会とつながっていることを実感できます。また、歩くこともいいリハビリとなりました。

4.1ヶ月前の自分と比べる

昨日今日では体調の変化を感じられなくても、たとえば1ヶ月前と比べてみて、1年前と比べてみて確実によくなっている、と自分に自信を持つことができたのは良かった点だと思います。

5.支援者になる(誰かの役に立つ)

最終的には、同じような病気をもつ人やその家族を支援できる行動をしていきたいと思えるようになりました。

事故や疾患などで障がいを持った方々でも、本当の意味での受容には1~2年はかかると言われています。

私自身、まだ受容の過程にいるのかもしれませんが、これからも一歩ずつ前進していきたいと思います。

【死生学】「悲嘆のプロセス」(デーケン)を知っておくと、最愛の人の「死」からの立ち直りや、病気などの受容もスムーズにいく。

ありのまま受け入れる

難病と診断されて5年経ちますが、今では「難病を乗り越えよう!」とか「病気を克服してやる!」とか、そういう強い気持ちはわかなくなってきました。

なぜかというと、やっぱり日々体調変動があるわけで、あまり意気込んでしまうと、どっと疲れて、ある日ズドンとメンタルが落ちてしまうワケです。

誰しも遅かれ早かれいつかは死ぬのであって、自分の「寿命」に抗っても仕方がないこと、ありのまま受け入れたほうが気持ち的にもラクだな、と感じています。

悲嘆のプロセス

以前このブログでも紹介しましたがA.デーケン氏の「悲嘆のプロセス」というものがあります。

自分がいま悲嘆のどの段階にいるのか、客観的に認知することで、立ち直りのゴール=再スタート地点に立てることがイメージしやすくなって、病気などの受容もスムーズにいくのではないかと思います。

実際に私も自分自身の病気を受容するまでにこのプロセスを経ました。

「悲嘆のプロセス」(by デーケン)

1.精神的打撃と麻痺状態
⇒なにが起きたのか、わからない

2.否認
⇒私は何も悪いことはしていない。

3.パニック
⇒まさにパニック状態。

4.怒りと不当感
⇒なぜ、私がこんな目に遭わなきゃいけないの?
感情が高ぶり、号泣。

5.敵意とうらみ
⇒なんなんだよ、バカ、ボケ。周囲の態度にもムカつく。

6.罪意識
⇒原因を作ってしまった自分に対して罪の意識。 周囲の人たちにも迷惑をかけてしまって本当に申し訳ない。

7.空想形成・幻想
⇒あぁなったらどうしよう。そして周囲には威嚇。

8.孤独感と抑うつ
⇒ひとりぼっち。誰もわかってくれない孤独感。

9.精神的混乱とアパシー(無関心)
⇒自暴自棄。すべてのことに対して無関心。

10.あきらめ―受容
⇒もう起きてしまったことはしょうがない。 受入れる。

11.新しい希望―ユーモアと笑いの再発見
⇒これも、笑ってネタにしよう。

12.立ち直りの段階―新しいアイデンティティの誕生
⇒いつかは立ち直り、誇りを取り戻せる。

時間はかかりますが、皆いつかは最後の立ち直りの段階まで到達します。

今もがき苦しんで辛い時期にいる方は、いまはこういう時期だからこんな自分でも仕方がないと思って、あまり自分を追い詰めないでくださいね。

一つ一つ段階を踏んで前に進んでいる自分をほめてあげましょう。

「幸せとは?」

35歳のときに難病と診断され、主治医から「いつ死んでもおかしくない危険な状態」と言われ緊急入院、ステロイド治療がはじまって・・・あれから5年。

今こうして生きているだけで幸せ、と思います。

自分らしく生きるために、

  • 他人と比べない
  • 多くを求めない
  • 欲張らない
  • できることを見つける
  • 社会貢献する
  • 感謝する気持ちを忘れない
  • 日々の生活のなかで小さな感動を見つける

などを心がけています。

何の変哲もない日常が、いまの私にとってはとてもありがたいことです。この当たり前(=幸せ)が、いつまでも続くことを願うばかりです。