希少難病のある人と働くうえで理解して欲しいこと。 #世界希少・難治性疾患の日 #難病の日

こんにちは。「難病オトナ女子の知恵袋」管理人、アラフォー難病女子のかふぇもか(@ta_mocha)です。

私は2013年、当時35歳のときに希少難病の一つ高安動脈炎(たかやすどうみゃくえん、大動脈炎症候群)と診断されました。この疾病は、膠原病(こうげんびょう)のひとつで、免疫の異常によって血管に炎症が起きます。

おおざっぱにいえば、自分で自分を攻撃してしまう病気で、全身の至るところで火事(炎症)が起きてしまう、放っておくと燃え尽きてしまうおそれのある病気です。日本国内には約6000人の高安病患者がいて、発症年齢は20代から30代の女性が多いと言われています。

難病とは

ところで、読者の皆さんは「難病」と聞いてどういったイメージをされますか?

「治らない病気?」

確かに治らない病気ですが、「寛解」(症状が落ち着いて安定した状態)は目指せます。

「働けないのでは?」

難病をかかえながらも、軽症の方々であれば治療をしながら半数以上が働いているというデータもあります。難病があっても、適切な仕事とのマッチングがうまくいき、職場の方々の理解や配慮があれば、体調をうまくコントロールしながら働くことは十分可能です。

難病は症状も重症度なども一人ひとり状況が異なるので、患者同士でさえ、他人のことは聞いてみないとわからないことばかりです。病気やケガなどで入院した経験のない人はなおさらのこと、闘病中の難病患者の状況は理解しづらいかもしれませんね。

しかし、誰しもいつ何時、病気や障がいを抱えるかはわかりません。いまは健康である人でも、想像力を働かせて、ぜひとも難病や障がいを持つ方々の気持ちに寄り添ったお心遣いをお願いできればと思います。(以下、「リズムーン」の自著コラムより一部転載)

難病のある人と働くうえで理解して欲しいこと

たとえば、「免疫力が低下している」と聞いただけでは、イメージが湧きにくいかもしれませんが、免疫力が低下している人は、感染症にかかりやすく、風邪が悪化して肺炎になって入院、なんてことも珍しくありません。それが命取りになる場合もあるので、医師からの指導で、私も含めてつねにマスクを着用している人は多いです。

ほかにも、「体力がない」という人は、全身のスタミナ不足のため、立ちっぱなしでいること、重たい荷物を運ぶ力仕事、屋外で長時間過ごすこと(紫外線を浴びる)などは症状が悪化しやすく、長時間の外出や作業が難しい状況にあるかもしれません。

それから、意外と多いのが、いわゆる「気象病」で、急激な気温や気圧の変化に弱い人や、低気圧や台風が接近してくると体調が悪化しやすい人もいます(私の場合で言えば、低血圧になって立ちくらみがひどくなります)。日によって急に体調が悪化してしまうこともあるので、突発的な休みを理解して欲しいと思っている当事者は少なくないと思います。

状況を理解するために、病気のことを聞いてもよい?

周囲の人の中には「知識がないので、なにか変なことを聞いて傷つけてしまったら……」と思うと、なかなか深く突っ込んで病気のことを聞けない、と遠慮してしまっている人もいるもしれません。それが難病に対するイメージの掴みにくさにつながっているのだとしたら、それはとても残念なことです。

実は当事者のなかにも「病気のことについて知ってもらいたい」「あまり気にしない」と思っている人は少なくありません。病気のことを既にオープンにしている人に対してであれば、どんどん本人に聞いてみるといいと思います。詳しく突っ込んで聞いてもらったほうが、むしろ「理解しようとしてくれているんだな」と思って、相手も好意的に受け止めてくれるでしょう。

ビジネスシーンにおいても、「どんなときに、どんなことで困っているの?」「どんなことに配慮すればいい?」など、こんな風に聞かれると答えやすいですし、相手が面白半分で聞いてこない限り、いやな気分はしないと思います。さらに、「どのような症状が出るの?」「どんな薬を服用してるの?」「食事制限とかあるの?」など、より具体的に聞けば、自分の状況について率直に話してくれる人もいるかもしれません。

「がんばって!」というフレーズは要注意

ただし、踏み込んで聞くにしても、難病や障がいのある人たちなどに対して、気軽に「がんばって!」と声がけすることは控えた方が無難かもしれません。

難病を抱えながら働く人たちの中には、ある程度病状が安定している時期(寛解期)でも、日々の体調管理に人一倍努力し、またいつ病気が再燃するかもわからない不安をかかえながら、精神的にもギリギリの状態で働いている人も少なくありません。

そのような状況で、たとえば、「お仕事がんばって!」と声をかけられた本人は、「私はこんなにもすでに必死でがんばっているのに……」「もうこれ以上がんばれないわ」と悲しい気持ちを抱くかもしれません。期待以上の仕事をしてくれるからとさらに仕事を任されようものなら、「これ以上仕事を押し付けないで!」と心の内では叫び声を上げているかもしれません。

「がんばれ」という一言は、相手にストレスやプレッシャーを与えてしまう恐れがあることを念頭に、それぞれの状況や心情を察したうえでの声がけが求められます。

特別扱いは無用。ナチュラルサポートが望ましい

一方、ビジネスシーンにおいては、こまめに進捗を確認する機会を設けながら、本人の状況や意向を確認し、本人に困っているようすがあれば、じっくり耳を傾ける姿勢が大切と思います。

とはいえ、あれこれ気をつかわれると、まるで特別扱いをされているようで、逆に居心地が悪いと感じてしまう人もいるかと思います。当事者は「難病」であることを理由に特別扱いをしてもらうことを欲しているのではなく、あくまで自分の能力を発揮して社会に対して貢献するために、業務上のちょっとした”調整”を求めているケースが多いと思います。たとえばライターの私であれば、取引先にお願いして納期や進行スケジュールにゆとりを持たせてもらう等の調整に応じてもらうなど、ナチュラルなサポートを得ていて、それはとても助かります。

完成物や「できること」に対して「ほめる」「感謝する」ことの大切さ

日ごろから「体調大丈夫?」「不安に感じていることはない?」など、もちろん相手を気づかうことも大切ですが、それよりもむしろ、難病・障がいのあるなしにかかわらず、能力を活かして企業や社会に貢献している、役立っているということを正当に評価してあげることのほうが大切と思います。

わかりやすい例で言えば、相手がイラストレーターであれば、完成物であるイラストに対してきちんと評価をする、できていることに関してはほめる、感謝の気持ちを伝えるなどです。これらは、ビジネスシーンにかかわらず、良好な対人関係を築くうえで不可欠なことと言えるでしょう。

相手の「できないこと」に目を向けるのではなく、「できること」に目を向けて声がけや気づかいをすることによって、本人に自信とやりがいを感じてもらいながら、職業人として活躍してもらうことが何よりの心づかいと言えそうです。

お互いのことを気づかう姿勢や心がけが大切

先に述べたとおり、症状は人それぞれです。100人いれば、100通りの症状があるでしょう。『困ってるひと』でおなじみ作家・大野更紗さんと評論家・荻上チキさんが共同編集長の「見えない障がい」をテーマにした情報共有メールマガジン「困ってるズ!」などへの投稿内容をみても、難病や障がいと一言でいっても、困っていることは実に多種多様であることがわかります(ちなみに、このメルマガvol.84で私が登場しています)。

ですから、大切なことは、難病や障がいのあるなしにかかわらず、お互いのことを気づかう姿勢や心がけを日ごろから意識することだと思います。

周囲の方々へのちょっとした声がけや気配りで、誰もがより働きやすい環境、より安心して暮らせる社会や未来を実現できるはずです。多様性が受容され、誰もがより過ごしやすい社会になるように、私自身も微力ながらこれからも活動していきたいと思います。

ヘルプマークをご存じですか?

ヘルプマークとは、義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、外見から分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう東京都が作成したマークです。

40代で傍目では健康そうに見える私が、優先席に座っていると周囲から誤解を受けることもあるので、カバンにはヘルプ―マークをつけて外出するようにしています。

現在ヘルプマークは全国に拡大しつつあるようですが、マタニティマークなどと比べるとまだまだ認知度が低いので、2020年の東京オリンピック・パラリンピックなどを契機に、ヘルプマークがもっと広く知られるようになることを願います。

毎年5月23日は「難病の日」

毎年2月末日は「世界希少・難治性疾患の日」(RDD)

世界希少・難治性疾患の日(レア・ディジーズ・デイ)とは

希少・難治性疾患の病気に苦しむ人は世界中にいます。

それにもかかわらず、患者数が少なかったり、病気のメカニズムが複雑なため、治療薬・診断方法の研究開発がほとんど進んでいない例もあります。

Rare Disease Day (世界希少・難治性疾患の日、以下RDD)はより良い診断や治療による希少・難治性疾患の患者さんの生活の質の向上を目指して、スウェーデンで2008年から始まった活動です。日本でもRDDの趣旨に賛同し、2010年から2月最終日にイベントを開催しております。

このイベントが、患者さんと社会をつなぐ架け橋となり、希少・難治性疾患の認知度向上のきっかけとなることを期待しております。

(RDD日本開催事務局公式サイトより)

RDD2019

2019年も全国各地で関連イベントが催される予定です。イベントを通じて、少しでも難病への理解が広がることを望みます。

◆関連サイト
Rare Disease Day (RDD) レアディジーズデイ 世界希少・難治性疾患の日
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