難病のある社員に言ってはいけない言葉【職場・上司編】

こんにちは。カフェモカです。

前回の「難病患者に言ってはいけない言葉【家族編】」に続いて、今回は職場編をテーマに、難病のある人と働くうえで理解して欲しいことを考えてみたいと思います。

難病患者に言ってはいけない言葉【親・家族編】

難病のある人と働くうえで理解して欲しいこと

たとえば、「免疫力が低下している」と聞いただけでは、イメージが湧きにくいかもしれませんが、免疫力が低下している人は、感染症にかかりやすく、風邪が悪化して肺炎になって入院、なんてことも珍しくありません。それが命取りになる場合もあるので、医師からの指導で、私も含めてつねにマスクを着用している人は多いです。

ほかにも、「体力がない」という人は、全身のスタミナ不足のため、立ちっぱなしでいること、重たい荷物を運ぶ力仕事、屋外で長時間過ごすこと(紫外線を浴びる)などは症状が悪化しやすく、長時間の外出や作業が難しい状況にあるかもしれません。

それから、意外と多いのが、いわゆる「気象病」で、急激な気温や気圧の変化に弱い人や、低気圧や台風が接近してくると体調が悪化しやすい人もいます(私の場合で言えば、低血圧になって立ちくらみがひどくなります)。日によって急に体調が悪化してしまうこともあるので、突発的な休みを理解して欲しいと思っている当事者は少なくないと思います。

病気のことを聞いてもよい?

周囲の人の中には「知識がないので、なにか変なことを聞いて傷つけてしまったら……」と思うと、なかなか深く突っ込んで病気のことを聞けない、と遠慮してしまっている人もいるもしれません。それが難病に対するイメージの掴みにくさにつながっているのだとしたら、それはとても残念なことです。

実は当事者のなかにも「病気のことについて知ってもらいたい」「あまり気にしない」と思っている人は少なくありません。病気のことを既にオープンにしている人に対してであれば、どんどん本人に聞いてみるといいと思います。詳しく突っ込んで聞いてもらったほうが、むしろ「理解しようとしてくれているんだな」と思って、相手も好意的に受け止めてくれるでしょう。

ビジネスシーンにおいても、「どんなときに、どんなことで困っているの?」「どんなことに配慮すればいい?」など、こんな風に聞かれると答えやすいですし、相手が面白半分で聞いてこない限り、いやな気分はしないと思います。さらに、「どのような症状が出るの?」「どんな薬を服用してるの?」「食事制限とかあるの?」など、より具体的に聞けば、自分の状況について率直に話してくれる人もいるかもしれません。

「がんばって!」というフレーズは要注意

ただし、踏み込んで聞くにしても、難病や障がいのある人たちなどに対して、気軽に「がんばって!」と声がけすることは控えた方が無難かもしれません。

難病を抱えながら働く人たちの中には、ある程度病状が安定している時期(寛解期)でも、日々の体調管理に人一倍努力し、またいつ病気が再燃するかもわからない不安をかかえながら、精神的にもギリギリの状態で働いている人も少なくありません。

そのような状況で、たとえば、「お仕事がんばって!」と声をかけられた本人は、「私はこんなにもすでに必死でがんばっているのに……」「もうこれ以上がんばれないわ」と悲しい気持ちを抱くかもしれません。期待以上の仕事をしてくれるからとさらに仕事を任されようものなら、「これ以上仕事を押し付けないで!」と心の内では叫び声を上げているかもしれません。

「がんばれ」という一言は、相手にストレスやプレッシャーを与えてしまう恐れがあることを念頭に、それぞれの状況や心情を察したうえでの声がけが求められます。





特別扱いは無用。ナチュラルサポートが望ましい

一方、ビジネスシーンにおいては、こまめに進捗を確認する機会を設けながら、本人の状況や意向を確認し、本人に困っているようすがあれば、じっくり耳を傾ける姿勢が大切と思います。

とはいえ、あれこれ気をつかわれると、まるで特別扱いをされているようで、逆に居心地が悪いと感じてしまう人もいるかと思います。当事者は「難病」であることを理由に特別扱いをしてもらうことを欲しているのではなく、あくまで自分の能力を発揮して社会に対して貢献するために、業務上のちょっとした”調整”を求めているケースが多いと思います。たとえばライターの私であれば、取引先にお願いして納期や進行スケジュールにゆとりを持たせてもらう等の調整に応じてもらうなど、ナチュラルなサポートを得ていて、それはとても助かります。

「できること」に対して「ほめる」「感謝する」ことの大切さ

日ごろから「体調大丈夫?」「不安に感じていることはない?」など、もちろん相手を気づかうことも大切ですが、それよりもむしろ、難病・障がいのあるなしにかかわらず、能力を活かして企業や社会に貢献している、役立っているということを正当に評価してあげることのほうが大切と思います。

わかりやすい例で言えば、相手がイラストレーターであれば、完成物であるイラストに対してきちんと評価をする、できていることに関してはほめる、感謝の気持ちを伝えるなどです。これらは、ビジネスシーンにかかわらず、良好な対人関係を築くうえで不可欠なことと言えるでしょう。

相手の「できないこと」に目を向けるのではなく、「できること」に目を向けて声がけや気づかいをすることによって、本人に自信とやりがいを感じてもらいながら、職業人として活躍してもらうことが何よりの心づかいと言えそうです。

お互いのことを気づかう姿勢や心がけが大切

難病や障がいと一言でいっても、症状や困っていることは実に多種多様です。100人いれば、100通りの症状があるでしょう。ですから、大切なことは、難病や障がいのあるなしにかかわらず、お互いのことを気づかう姿勢や心がけを日ごろから意識することだと思います。

周囲の方々へのちょっとした声がけや気配りで、誰もがより働きやすい環境、より安心して暮らせる社会や未来を実現できるのではないでしょうか。