「患者力」を身につけるために私が実践している10のこと。

慢性的な病気を持っている人の中には、一度は主治医に対して相性の悪さを感じたり、不信感を抱いたりしたことがある人が少なからずいるのではないでしょうか? かくいう私もそのひとり。

膠原病内科の主治医と出会ってから、まだ半年の頃の話です。

主治医は、いわゆる研究者タイプ。
学者肌な人で、優秀なんだろうけど、世渡りベタな印象。

  • 説明がわかりにくい。
  • 患者の話を無視する。
  • 不安に思っていることを解消してくれない。
  • 思い込みが激しい。

……などなど、不満だらけで、医師あるいは病院を替えようと思ったことが幾度となくあります。
(緊急入院だったこともあり、ベッドの空きの都合で、病院を自分で選べなかった経緯もあり…)

一方で、

  • 「自分の伝え方が悪いのか?」
  • 「過剰に医師に期待すぎているのか?」
  • 「知識が足りなさすぎるのか?」
    …などと自省しました。

一生お付き合いしなくてはならない病気であり、長いお付き合いになる先生なので(異動でサヨナラもあると思いますが)、うまく付き合っていかなくてはならない。はて、どうしたものか?

そんなときに読んだのがこの川嶋先生の患者力という本です。世の中にはこの課題を紐解いてくれそうな「患者力」に関する書籍がいろいろ出版されていますが、なかでもこの本はオススメの一冊です。

医者と患者の話はなぜすれ違うのか。原因は医師特有の思考回路、「医師アタマ」にあると考えた著者が、その価値観と常識を徹底分析。よりよい医療を受けるための「患者力」をつける本。

この本は、医師アタマの取扱説明書としては、攻略法の具体例が少なく、物足りなさを感じたけれど、「医師アタマ」とは、うまいネーミングを考えたものだ!こんどから、私の主治医のことも尊敬の念をこめて、「医師アタマ!」と密かに呼んでストレス解消してた(笑)

病院を受診するときに心配事を上手に伝えるにはどうしたらよいか、医師は患者の思いをどうやって汲み取ったらよいか、など患者─医師間の上手なコミュニケーションとは何かを具体的に提言している1冊。

心臓の専門医&高安病に関してはおそらく日本一いや世界一(?)の診療実績を持つ東京医科歯科大学病院の磯部教授(現・榊原記念病院院長)による本だけあって、具体例は心臓病関連の話が多く、狭心症のある私にとっては、心筋梗塞や冠動脈の狭窄の話、薬(β遮断薬)の話、手術の症例などとても参考になる内容ばかりでした。

さらに、本書では高安動脈炎(大動脈炎症候群)の患者の事例も取り上げられていて(p.100、p.107、p.125など)、私自身、高安病なので、「そうそう、そうなんだよねー」と実感と親しみをもって読み進められました。

ちなみに、「著者の外来には、高安病の患者が多数通院してくる。今では100人をくだらない。多分世界一の数だと思う」という記述がありました。同病者の方々は必読の1冊です。一度、患者会の講演会で磯部先生の講演会を聞いたこともありますが、ホント話がわかりやすくて、この先生に診てもらっている同病者さん、うらやましいなー。

私が「患者力」を身につけるために実践していること

主治医の話をよく聞く

どういった症状を伝えたときに、主治医からどんなことを聞かれて、どんな診断名を受けたかを蓄積していくうちに、自分でも「あっ、こんな症状のときは、先生はこんなところを触診していたな」とか、自分でも健康チェックのポイントがだんだんとみえてきます。

たとえば、私が胃炎になったときも、突然の悪寒と40℃以上の高熱。加えて、寝っ転がっているときに、なんとなく左のおしりの上(腰)のあたりを押すと、かすかな痛みがある。

ん?なんか、痛むぞ。

翌朝、心臓内科の先生にみてもらったときは「いまのところ肺の音はキレイですね」と言われる。

でも、それはあくまでその時点でのお話。その翌日はどうなるかわからない。

医者任せにせず、自分でも調べる

熱が再びぶりかえしたので、なんかいつもと違うぞ?おかしいぞ?と疑った私は、念のため翌日には、膠原病内科の主治医に急遽みてもらって、「肺炎になってますね」と言われたときには、「あぁ、肺炎かぁ。でも、私の勘は間違ってなかった。はやめに見つけてもらえてよかったぁ!」と私は肩をなでおろしました。

自分の身体のことを一番わかっているのは自分なので、医者任せにはせず、自分の直感を信じることも大切と思います。その直感力を養うためにも、医師から得られた情報は忘れないようにメモをとったり、わからないことは自分で調べたりして知識を増やしていければいいですよね。

ちなみに、私は主治医(内科)とお付き合いするうえで、医者の言うことは70%程度信じるのがちょうどよい、と個人的には思っています(でも、心臓の手術をすることになったら、外科の先生は100%信じられるような先生じゃないと命預けらんないかな)。

感謝の気持ちを伝える

挨拶する、感謝の気持ちを伝えるは、コミュニケーションの基本ですね。

看護師長・受付スタッフとも仲良くなる

仲良くなるっていったって、別に看護師さんとお友だちになろうっていう意味ではありませんよ。

看護師さんのほうが、かかりつけの主治医以上に、病院内の実務面や内情を知り尽くしている場合もあります。

たとえば、主治医にはなかなか直接言いづらいことや、診察中に聞けなかったこと、「主治医が若い先生で頼りないんだけど」「待ち時間を極力短くするコツは?」など相談をするとアドバイスをくれたりするかもしれませんよね。

私自身、通院時に困ったことがあったら看護師長(ベテラン看護師)を探して聞くようにしています。私のかかりつけの病院の外来診療科では、紫っぽい白衣を着ている人がベテラン看護師さんなので声がけするときの目印にしています。

あくまで謙虚な姿勢で

病院の診療科などの受付前で診察を待っている間、人間ウォッチをしてみるとこれがなかなか楽しいものです。

「いったいいつまで待たせるんだ?」「この呼び出し器の使い方わかんないよ!」など、不平不満を怒鳴り散らして横柄な態度をとる一部の輩がいます。どちらかというと悪態をつくのは男性が多い印象なんですけど、相手に気持ちよく働いてもらった方が、己にも良いことが返ってくるだろうに、わかっとらんなー、と思うのは私だけかしら? まぁ、クレームすることで病院スタッフを育ててあげているんだといういい分もあるかもしれませんが、声がけするにもスマートなやり方があると思いますがね。

院内を探検する

大病院ともなると、院内にはコンビニ、コーヒーショップ、銀行、クリーニング、理容室、図書室など、意外なものまでそろっていたりすることもあります。

診療科前などの掲示物には院内のルールや、苦情改善コーナーには患者の不満の声に対して、病院はこういう対応をしてまーす!という張り紙やビラが出されていたり、病院の雰囲気がリアルに伝わってきます。患者としては院内のルールや現状を知って少しでも病院に対する理解を深めると、待ち時間のイライラなども減らせるかも!?

医療講演会に参加する

「難治性血管炎の最新情報」セミナーに参加して(東京女子医大主催)

患者会に入会する

【膠原病】医療講演会「外来でもらう検査値表はどうみるの?」に参加した感想(2017年6月)

患者会に参加するメリット

  • 同じような境遇にある人たちと情報交換ができる
  • 日常生活の困りごとや悩み事を相談できる
  • 自分が受けている治療が一般的なのかどうか把握できる
  • インターネットと違って、参加者の顔が見える
  • 患者会主催の医療講演会などで正しい知識を得ることで不安が和らぐ

ブログで発信する

【月数万円の稼ぎ方】難病で仕事できないなら副業で月1万~月10万円稼げる在宅アフィリエイターとして働くのがおすすめ。

お役立ち番組・ブログをみる

NHK「チョイス@病気になったとき」(Eテレ毎週土曜日夜8時より)

健康番組「チョイス」おすすめです。忙しい人は、総集編のまとめスペシャルなどをみるといいですよ。特集例/慢性腎臓病対策まとめ

NHK「総合診療医 ドクターG」(第8シーズン9/20で終了)

総合診療医が病名を探り当てるまでの謎解きの面白さをスタジオで展開する、新感覚!病名推理エンターテインメント番組。映像をみながら病名をいっしょに推理するのがオモシロかったりします。

この番組をみていたときに、たまたま「高安動脈炎」が出てきたことがあるのですが、まさか自分がこの病気になるとはねぇ。。無念。

おすすめサイト・おすすめブログ(随時更新)

難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/

理想の医療を目指して~リウマチ膠原病内科医の奮闘記
https://ameblo.jp/takkman-rheumatologist/
埼玉でリウマチ膠原病内科医をされているタックマン先生のブログ。医師と患者の関係についてなど、さまざまな示唆を得られるので、お気に入りのブログの一つです。

soar(ソア)
https://soar-world.com/
障害や難病、LGBT、貧困、格差の中の子どもなど「社会的マイノリティ」の人々が持つ可能性が広がる瞬間を捉えるメディア

アスクドクターズ
https://www.askdoctors.jp/
医師に直接相談もできる日本最大級の医師Q&Aサイト(有料)です。月額300円(税別)。
私はアスクドクターの会員になって、主治医に相談できなかったことや、定期診察がだいぶ先で、ちょっと気になっている症状などをこのサイトで相談しています。的確なアドバイスがいつも返ってくるとはいえませんが、不安なことを吐き出すだけでスッキリすることもあります。逆に、いろいろな可能性を指摘されて不安になってしまうこともありますが、参考程度に聞いておく程度で、それをベースに次回の診察で主治医と相談する知識を身につけるツール、メールカウンセリング代わりとして私は利用しています。

まとめ

「患者力」を身につけることで医師に対する不満やストレスは激減した

慢性疾患のある患者として実感しているところですが、日本の医療サービスを受けるにあたっての心構えを知っておいたほうが、医師と付き合ううえで、なにかとストレスがたまらないと思います。

そもそも、医者は患者と特定の関係にならないように一線を引くべしと教育されているので、患者である私たちも医師に依存しすぎないほうが結果としてよりよい関係を築けると思います。

世の中に「高安病の専門医はいない!」「専門家は患者である自分だ!」と思うことで、医師に依存しすぎることもなくなりました。

どうぞ読者の皆さんも主治医とよりよい関係性を構築していってくださいね。