慢性的な病気を持っている人の中には、一度は主治医に対して相性の悪さを感じたり、不信感を抱いたりしたことがある人が少なからずいるのではないでしょうか? かくいう私もそのひとり。
膠原病内科の主治医と出会ってから、まだ半年の頃の話です。
主治医は、いわゆる研究者タイプ。
学者肌な人で、優秀なんだろうけど、世渡りベタな印象。
- 説明がわかりにくい。
- 患者の話を無視する。
- 不安に思っていることを解消してくれない。
- 思い込みが激しい。
……などなど、不満だらけで、医師あるいは病院を替えようと思ったことが幾度となくあります。
(緊急入院だったこともあり、ベッドの空きの都合で、病院を自分で選べなかった経緯もあり…)
一方で、
- 「自分の伝え方が悪いのか?」
- 「過剰に医師に期待すぎているのか?」
- 「知識が足りなさすぎるのか?」
…などと自省しました。
一生お付き合いしなくてはならない病気であり、長いお付き合いになる先生なので(異動でサヨナラもあると思いますが)、うまく付き合っていかなくてはならない。はて、どうしたものか?
そんなときに読んだのがこの川嶋先生の患者力という本です。世の中にはこの課題を紐解いてくれそうな「患者力」に関する書籍がいろいろ出版されていますが、なかでもこの本はオススメの一冊です。
「医師アタマ」との付き合い方―患者と医者はわかりあえるか (中公新書ラクレ)
医者と患者の話はなぜすれ違うのか。原因は医師特有の思考回路、「医師アタマ」にあると考えた著者が、その価値観と常識を徹底分析。よりよい医療を受けるための「患者力」をつける本。
この本は、医師アタマの取扱説明書としては、攻略法の具体例が少なく、物足りなさを感じたけれど、「医師アタマ」とは、うまいネーミングを考えたものだ!こんどから、私の主治医のことも尊敬の念をこめて、「医師アタマ!」と密かに呼んでストレス解消してた(笑)
磯部光章(著)『話を聞かない医師 思いが言えない患者』(集英社新書)
病院を受診するときに心配事を上手に伝えるにはどうしたらよいか、医師は患者の思いをどうやって汲み取ったらよいか、など患者─医師間の上手なコミュニケーションとは何かを具体的に提言している1冊。
心臓の専門医&高安病に関してはおそらく日本一いや世界一(?)の診療実績を持つ東京医科歯科大学病院の磯部教授による本だけあって、具体例は心臓病関連の話が多く、狭心症のある私にとっては、心筋梗塞や冠動脈の狭窄の話、薬(β遮断薬)の話、手術の症例などとても参考になる内容ばかりでした。
さらに、本書では高安動脈炎(大動脈炎症候群)の患者の事例も取り上げられていて(p.100、p.107、p.125など)、私自身、高安病なので、「そうそう、そうなんだよねー」と実感と親しみをもって読み進められました。
ちなみに、「著者の外来には、高安病の患者が多数通院してくる。今では100人をくだらない。多分世界一の数だと思う」という記述がありました。同病者の方々は必読の1冊です。一度、患者会の講演会で磯部先生の講演会を聞いたこともありますが、ホント話がわかりやすくて、この先生に診てもらっている同病者さん、うらやましいなー。
「患者力」を身につけることで医師に対する不満やストレスは激減した
慢性疾患のある患者として実感しているところですが、日本の医療サービスを受けるにあたっての心構えを知っておいたほうが、医師と付き合ううえで、なにかとストレスがたまらないと思います。
そもそも、医者は患者と特定の関係にならないように一線を引くべしと教育されているので、患者である私たちも医師に依存しすぎないほうが結果としてよりよい関係を築けると思います。
世の中に「高安病の専門医はいない!」「専門家は患者である自分だ!」と思うことで、医師に依存しすぎることもなくなりました。
どうぞ読者の皆さんも主治医とよりよい関係性を構築していってくださいね。